しかし、戯言。

ぐうたら社会人がぐうたら思ったこと

え?くるりの新曲、聞いてないの?

夏フェスシーズン真っ盛り、皆さんいかがお過ごしですか。今年は、というか、今年も結局夏フェス行けなさそうで残念です。*1周りの友達はROCK IN JAPAN FES.に行ったりしてるんですけどね、僕は行けず。とはいえ、Facebookに上がる写真を見ると「楽しそうだなー」と思うと共に、「なんか、この感じ、無理だなー」と若干引いてしまう自分がいることも確かで。すっかり夏フェスが定着して、合コンみたいなノリ(というと言い過ぎな気もしますが)になりつつあるような気がします。出演アーティストも人気バンド寄せ集めみたいなフェスが増えてきて。んで、別にアイドル呼んでもいいんですけど、何らかのそこに至るストーリーとか、このフェスで呼ぶ意義みたいなものが見えてこないと、「ああただの金儲けなんだな」と見えてしまうよね。その顕著な例が前出のあのフェスだと思ってるんですけど。

と、またつらつらと悪口を書き始めましたが、今回は音楽の話がしたかったんです。そう、くるりの新曲ですよ、くるり。皆さん聞きましたか?まだ聞いてない人はとっとと聞いてください。できればイヤホンで。できれば映像つきで。


どうですか、これ。いや、この言葉で単純に表現するのはあまりに野暮だな、とは思いますけど、それでも言わせてください。「ヤバくないっすか?」前々からくるりの新曲がスゴい、と聞いてはいましたが、「どうせ音楽評論家におなじみの毎度のオーバーな表現だろ?」と身構えていた自分も初めて聞いた時は「えええええ!何これ!すげえ!」と完全に打ち抜かれましたよ。もう新しい音楽なんて生まれないよ、なーんて思ってた人達を一泡吹かせるくらいのぶっ飛んだ一曲。

もともと、くるりって、一貫したぶっとい軸はありつつも、あっちこっちと新たな音楽のフタを開けてくれるバンドでして、その結果として出るアルバム出るアルバム毎回違う匂いがして、そして毎作名盤なんですよね。だから本来「くるりでどのアルバムが一番好きか?」って、あれホント野暮な議論で。まぁついついしちゃうんですけど。

くるりを聞いたことが無い人に、簡単にくるりの多種多様な音楽性を感じてもらうとしますか。


音楽を聞く全ての人にとって永遠のスタンダードナンバー、ともいえる「ロックンロール」。いつまでも聞かれ続けるであろう名曲ですよね。


真夜中の孤独なダンスミュージック、「ワールズエンド・スーパーノヴァ」。思春期の多感な頃に聞いていたのでいたく影響を受けました。ちなみにこの曲、どんなアレンジで聴いても素晴らしい。

J-POPの文脈にストリングスを取り入れた楽曲は数あれど、クラシックの文脈に現代の音楽を持ちこんだ日本のバンドはくるりぐらいじゃないかなあ。そんな音楽を作っていた頃の代表曲「JUBILEE」。動画だとshort versionだけど、この曲が本当に凄いのはアウトロのうねる様な音の絡みなので、皆さんきちんとフルで聞いてくださいね。

とまぁ、曲を挙げるだけでも色々なんですけど、アルバムはもっとすごいんで、少しでも引っかかった方はぜひ1枚目から順番に聞いていって欲しいです。話すと長いので。

そんなくるりの今回の新曲。これまではベースとなる音楽が明らかで、そのベースの中で新しい音楽を作り上げていったように感じるんですが、今回は本当に多国籍で、単純に「これがベースにあるよね!」と言えないような一曲。例えるならば、音楽の色んな引き出しをひっくり返して、その中に入っていたものを全部一つにぐつぐつに煮込んでみたら、当然誰も聞いたことがないものが出来上がったんだけど、それが超良い曲、みたいな。いままでのくるりの色んなエッセンスが凝縮されていますよね。

不気味なイントロからじわじわ始まり、「何が来るんだ?」となったところでもっと不気味な踊れるビートが展開していく。不気味なのに踊れる。そこから少し開放的になってきたところで、なんだかよく分からないけど超テンションが上がる「ヨイショッ!」。ファンキーなトランペットを軸に、そこからもゴロゴロ転がっていったところで、また最初の不気味なイントロに。*2そこから急にメロディアスで美しい展開になった!と思ったらまた戻ってきて、さっきより怪しさが増幅していて・・・。と、言葉で書いてるとアホみたいなくらいゴロゴロと曲が変わっていってあっという間に6分経過。何だこの曲、書いててまたわけわからなくなってきた。ひとまず「ヨイショッ!」のところ超好き。「ヨイショッ!」ってライブで言いたい。

それだけ色んな展開があるのに、一貫してノれるビートと、キャッチーなメロディがあるからこそ、この曲は強烈なフックがあるんですよね。最近ボカロやらぶっ飛んだアイドルソングが増えてきて、その曲に熱中する若者も多いんですけど、それらの多くは「A」と「B」をムリヤリくっつけた、って感じがするんですよね。そのムリヤリ感を楽しんでるような。本来くるりのこの曲もそう感じられてしまいそうなんですけど、ムリヤリくっつけた、といった感じではなく、なぜか一曲としてすんなりまとまってるんですよね。「A」と「B」どころか、「E」やら「F」くらいまでくっつけてるはずなのに。それはきっと前述の強烈なフックの恩恵なんでしょう。

あと、この曲を「ヤバい曲」に仕立て上げた一因として忘れてはいけないのはやはりこのMVの映像。きゃりーぱみゅぱみゅSEKAI NO OWARIのMVを手掛ける今一番ぶっ飛んでる映像クリエイターと言っても過言ではない田向潤さんによるディレクションなんですが、この奇天烈な曲の世界を見事に分かりやすく色づけしているというか、ぶっ飛んだ映像なのにすごいしっくりというか・・・バカみたいな言い方すると「ポップ」なんですよね。アナログな仕掛けでカラフルに見せていて。しかもただめちゃくちゃやってるわけじゃないんですよね。音楽好きなんだろうなぁ、という映像で。間違いなく今年のMVA取るだろうな、というか、このMVで賞もらえないわけがないな、という作品です。にしてもこうやって撮ろう、ってどこからそのアイディア浮かんでくるんだろう。凄い。

とまぁ、一曲なのにここまでつらつらと言えてしまうくらいヤバい曲、くるりの「Liberty&Gravity」。くるりを聞くと、「あぁ音楽ってまだまだ面白いな、新しいな、楽しいな」といつも思わされるのですが、今回も本当に「音楽は面白い」と思わせてくれます。言葉でつらつら書くより、まずは聞いた方がインパクト強いと思うんで、「聞いたことがない」と言う人が周りにいたらまずいきなり聞かせてみてください。色んなリアクションが見てみたい。

そして、そんな曲がリード曲な時点でヤバそうなアルバム「THE PIER」もまもなく発売。

THE PIER (初回限定盤)

THE PIER (初回限定盤)

 

 既に聞いた方々が声を揃えて「ヤバい」と言っているので期待大です。多分今年の音楽を語る上では欠かせない、というか、今年どころじゃない話になるかもしれないので、要チェックです。ちなみにアルバムにはこんな曲も入ります。


なんだこの名曲は!ってくらいストレートに響く一曲ですよね。これとあれが同じアルバムに入ってるってどうなってるんだ・・・すごいぞくるり

*1:結局最後に行ったのは2年前のライジングサンか。あのフェスは移動から何からひたすら過酷なんだけど出るバンドもいいわ、そのバンドを見る環境としても最高だわ、飯は上手いわで超いいフェス。

*2:もうここまででも初聴の段階では「なんじゃこりゃー」で振り回されっぱなしですよね。